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2004年 09月 19日 ( 4 )

古本屋という「すっとぼけた商売。」

 高円寺の古本屋「芳堂雅書店」の店主は、直木賞作家・出久根達郎さんだった。いまでは、もう店は閉めてしまったそうだ。ぼくは行ったことがなかったが。
 
 『漱石を売る』(文藝春秋/出久根達郎著)
を読んだ。いろいろな新聞や雑誌に書いた、古本、というか、古本屋エッセイをあつめたもの。一九九二年刊。(文春文庫版あり)

 表題にもなっている「漱石を売る」では、漱石の書簡を二通、手に入れる。ところが、手に入れてから気づいたのだが、このうち一通が「お悔やみ状」なのだ。漱石とはいえ、なかなか買い手のつかぬ品である。さて、どうしよう、というはなし。
 ほんとうに、「本を売る」とは、どういうことだろうか。ま、これは書簡だけどね。
 
 「十五万冊」というはなしが、おもしろい。
 なんの数かというと、開店いらい、ずっとつけてきた、売った古本の冊数なのだ(こんな記録をとっておくのは、めずらしいことなのではないか?)。で、もうすぐ十五万冊。それを買ってくれたお客さんに、記念品をおくろうと、夫婦ははなしあって、『広辞苑』にした。いよいよか、というところで足踏みがつづき、そしてついにそのときが。さぁ、どんなお客だろうか……。
 気になる方は、さがして読んでみてくださいな。

 「不歎貧厨素、歎無買書銭」
 
 これは、鷗外の漢詩のなかの語句だという。
 どういういみかというと
 「貧しきゆえに粗末な食事なのは悲しいとも思わぬが、本を買う金なきを嘆く」
 ん~、そのとーり! 
by taikutuotoko | 2004-09-19 23:45 | 本・雑誌・新聞・書店

本を買わなきゃ散歩にならぬ。

 日曜恒例、ラジオ聴きつつ、ぶらぶら散歩&本さがし。またまた近場、江古田~練馬あたりですませてしまった。

 江古田のブックオフでは
 『東京デカメロン 風俗異人見聞録』(角川文庫/末井昭著)
 『素敵なダイナマイトスキャンダル』(角川文庫/末井昭著)
を、あわせて二一〇円で。
 『素敵な~』の方は、「ちくま文庫」版をもっているんだけど、むかしの(といってもこれは一九八四年のものだが)薄い角川文庫好き、としては見逃せないのだ。

 ほかにふつうの古本屋も数件まわるが、安いものではいまひとつ。財布にはもう八五〇円しかはいってなかったからね。でも、こうやって、散歩の途中に、なんとなしに本を買うのは、とっても愉しいことだ。植草甚一みたいにたくさんは買わないけども。

 けっきょく、さいごは練馬のブックオフで
 『酔いどれ紀行』(新潮文庫/山口瞳著)
 『ロンサム・カウボーイ』(角川文庫/片岡義男著)
を、あわせて二一〇円で。
 『ロンサム~』は、晶文社の単行本をもっているのだけど、すきな本だからしかたない。

 なんだかんだいっても、ブックオフの世話になってしまうんだよなぁ。
 
 定食の御飯がお代わり自由のところで、マズイおかずで御飯を四杯食ったら、ムチャだったようで、そのあと歩くのがツラかった。ふだんは御飯のお代わりなんてしないのだけど、「お代わり自由」だなんていわれると、ムリにでも食わないとソンなような気がしていけない。五九〇円。やめときゃよかった。 
by taikutuotoko | 2004-09-19 18:00 | 本・雑誌・新聞・書店

オタク黎明期の証言。

 「オタク」関連の本、というのは、いろいろと目にする。ぼくも気になって、いくつか読んでみるのだけど、ひたすらオタク礼賛みたいなノリの本や、わかるひとしか相手にしていないものだと、ちょっとついていけない。その点、これはいいな。

 『トンデモ創世記』(扶桑社文庫/唐沢俊一・志水一夫著)
という対談本を読んだ。「第一次オタク世代」だという著者たちは、「と学会」でもおなじみだし、唐沢さんの古本に関する著書はぼくもいくつか読んでいる。

 ぼくは、マンガもアニメも、ほとんどわからないのだけど
 「オタクとは身の回りにあふれるモノを通じての、世界理解のひとつの形である。理論、理念で実際の社会を分析するのでなく、今現実にそこにあるモノを通じて世界を見、認識し、そして語る人々を指す。」
なんていうふうに〈序文〉でいわれると、そういうものか、と妙にわかるような気になるね。

 一章では、かれらの若いころからの活動が、そのまま「オタク文化」の発生と成長の歴史そのものだ、ということが、なんとなくわかる。なんというか、深い世界だねぇ。
 
 二章は、「と学会」関係。ぼくなどは、「と学会」の本を読んではじめて、「トンデモ本」のすごさや、それをこうやって愉しむんだよ、ということを知ったようなものだ。でも、たんにバカにする、ということではないから、いいのだろう。

 あと、なかなか興味ふかかったのは、さいごの方で、ライター稼業の裏話がきけた部分。ワープロ導入がどんな影響をもたらしたか、とか。そのヘンだな。 
by taikutuotoko | 2004-09-19 11:37 | 本・雑誌・新聞・書店

「自分で道を切り拓く」。

 なにか、すでにそこに存在する「学問」に自分をあてはめる、ということではなく、「それぞれで歩いている人たち」のことだ。そして、「そこに学問があるのだ。」

 『「歩く学問」の達人』(晶文社/中川六平著)
を読んだ。「歩く学問」というのは、鶴見良行さんのエッセイからとったという。
 『アジアの歩き方』(ちくま文庫/鶴見良行著)
に同名のエッセイがおさめられているので、気になるひとはどうぞ。

 この本でとりあげている「達人」は一六名。
 鶴見良行・山折哲雄・高良倉吉・藤森照信・網野善彦・長井勝一・森まゆみ・目黒考二・粕谷一希・上野博正・宮本常一・小沢昭一・野田知佑・熊谷博子・松下竜一・大城立裕。
 しょうじきにいうと、四人については、ぼくは名前もしらなかった。

 このうち一三篇は、『AERA』の、「現代の肖像」に書いたものがベース。ほかは、『思想の科学』が二篇。『論座』が一篇。

 二三五ページの本で一六名を、というわけだから、それほどふかく、というわけにはいかないが、そのひとの「歩み」の道筋や、歩きながらなにを見てきたか、ということについて、わかりやすく紹介している。わりと、気楽に読める。

 みな、インタビューをもとにしたもの(宮本さんのは、アサ子夫人に)だ。
 中川さんは、あるひとに
 「インタビュアーはインタビューされているんだよ、六平」
と、インタビューの意味をおしえられたという。

 小沢昭一さんに、好きなことばを尋ねたところ
 「ちょっと裏、がいいですね」
と、答えている。
 
 うん、いいな、それ。
by taikutuotoko | 2004-09-19 00:52 | 本・雑誌・新聞・書店