ミステリー全般に疎いこともあって、ミステリー作家としての山田風太郎、というものをぼくはよくしらない。しかし、作家としてのキャリアのスタートはミステリー作家としてである、ということであれば、やはり読んでおかないとなぁ、というふうにおもっていた。
『山田風太郎ミステリー傑作選1 眼中の悪魔 〈本格篇〉』(光文社文庫/山田風太郎著)
を、きのう読みおえた。「山田風太郎ミステリー傑作選」は全十巻だそうで、ぼくは四冊ほどもっている。はやめに揃えておきたいコレクションだ。
この巻には、「眼中の悪魔」「虚像淫楽」「黄色い下宿人」「誰にも出来る殺人」など、十篇が収録されている。まったく、風太郎というひとはとんでもないひとだ。おもしろすぎるよ。
ミステリーなのだけれど、おおくの作品は、一種の恋愛小説なのだった。それが、この「殺人」の数々を、なんともせつないものにしている。
「黄色い下宿人」は、ホームズもの。読んでないひとにはちんぷんかんぷんだろうが、ぼくはやっと三五四ページで「気づいた」。これはたいへんに鈍いのだろうな。さいしょに気づいてもよさそうなものだ。まったく、こんなでは、じぶんはミステリーにむいていないといわざるをえないねぇ。