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戦国かぐや姫。

 きょねんの夏に、数日間で、講談社文庫の『山田風太郎忍法帖』シリーズ全十四冊をいっきに読む、という、至極の愉しみをあじわった。もう、読みおえたときには、ドッとつかれがでて、頭痛になやまされたほどだ。あまりにもおもしろい物語は、からだにわるい。

 『室町お伽草紙 青春!信長・謙信・信玄卍ともえ』(新潮文庫/山田風太郎著)
を、いま読みおえたところだ。わりと晩年の作品。

 奸雄として名高い松永弾正の勢力が跋扈する、京のみやこ。室町将軍家の威光は地におち、若き将軍は近江へと追いだされた格好……しかし、その御所には、将軍の姉(まだ十八だが)の香具耶が、とどまっていた。
 
 で、この香具耶ちゃん(失礼)が、風太郎作品にはおなじみ「純真無垢・天衣無縫」のとんでもない美人なわけなんだけど、もうひとり、この香具耶をつよく憎んでいる美女・玉藻がいて、復讐のため、あるとりひきを、おとこたちにもちかけるのだ。西洋の新型銃が、ほしくないか、と。

 それが、たまたま、わずかな手勢で京にのぼっていた、まだ若き信長・謙信・信玄と、松永弾正という面々で、しかも日吉丸(のちの秀吉)まで登場するから、戦国オールスターといった感じ。香具耶に魅せられたかれらだが、戦国大名としては銃もほしい。そこにそれぞれの腹心たちの思惑もからむ。はたして香具耶の運命はいかに。

 山田風太郎作品は、いろんな文庫でコレクションがだされていて、すべてそろえるのはたいへんだ。ちくま文庫は明治小説全集があるけど、忍法帖の短篇全集もはじまっている。講談社の忍法帖シリーズ、光文社のミステリー傑作選、徳間の妖異小説コレクション、などなど、さいきんのものだけでも、膨大な数がある。ぼくは、ちくま文庫の両全集と光文社文庫を、あつめている途中だよ。
by taikutuotoko | 2004-08-01 11:19 | 本・雑誌・新聞・書店


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