旧知の間柄である
本街探偵氏に連絡をとる。この事件のいきさつと疑問点を説明し、
岡田さんからの助言の内容を伝えると、本探氏は「なるほど見えてきたよ、タイクツ君。君は岡田さんに感謝しなければいけない」と言った。調査の中間報告が届いたのはそれからすぐのことである。
「例の件だが、【高田俊郎】という人物がどうやらアヤシイようだ。『キネマ』『新興映画』『映画評論』といった古い映画雑誌の編集、発行人等としてその名を見ることができる。まぁ、まだ指先を遊ばせただけの調査だがね。文雄と俊郎の関係についてだけでよければ、もしかしたら『「映画評論」の時代』(マガジンハウス/佐藤忠男・岸川真編著)という本があれば解決する話かもしれん。だが、俊郎と保のつながりとなると、ウム、もう一調べ必要というところだろう。」