『目白雑録』(朝日新聞社/金井美恵子著)
を、あんまり暑いんでファミレスに居座って読んだ。
じつをいえば、金井さんのは短篇小説をむかし読んだときに、文体があまりに独特で、こ、これはよくわからないぞ、というふうにおもってしまい、それいらいどうも敬遠していたのだけど。
んー、後悔。はやく読んでおくべきだったかな。
女性らしい感性・知性、なんていい方を安易にするのは、逆にそのひとの知性を疑われかねないことだから、慎重にしなければならないとはおもう。たしかに、逆に、男性らしい感性・知性、なんていうふうにいったら、皮肉としてしか聴こえないだろうし。
いや、でも、そうなのだ、「男性らしい感性・知性」なんていい方が成立するとすれば、今やそれは「思考停止」の代名詞としてでしかない、ものなのかもしれないという気が、この本を読んでいると痛感するのだ。もちろん女性だっておなじなのだけれど、男性のばあい、それでいままで通ってきたから、でかい顔したまま馬鹿がこんがらがってしまったのかもしれない。(それを「オヤジ」という、のかな)
で、そういう「醜悪な滑稽さ」を、金井さんが痛烈に笑ってみせるのが、このエッセイ集だ、というのはかなり乱暴な紹介なのだけれども。(もう、性によってどうのこうの、ということを書くのはやめようとおもうけど…)
そのほかに
『遠い朝の本たち』(ちくま文庫/須賀敦子著)
も読みおえて、やっぱり、女性にしか書けない文章があるのかもねぇ、なんて。
ふぅ。ぼくのあたまは大丈夫かねぇ。