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おクスリ、だしときます。

 たとえばこんなひと。

 いちにちの食費に五百円以上かけてしまったら、ゼイタクしすぎたと反省するくせに、本に千円くらい出すのはなんともおもわない。だから、栄養もかたよっちゃって、体によくないとはおもいながら、本を買うのをやめられない。 
 ねるのは三時、おきるの六時。いつも寝不足でふらふらしてるのに、ついつい読書で夜更かししてしまう。
 本はページを折ったり線をひいたりはしないで、しるしにはポストイットを利用する。なるべくきれいにしておきたい。より良く読むことより、所有のよろこび?
 部屋のあちこちに本をつめたダンボールがつまれていて、テレビやコンポを操作するにも遮られてリモコンの光線がとどかない。でも、蔵書がないと不安でならない。なかなか処分もできない。

 まぁ、ぼくだけど。いけませんね。あるいみ「生活習慣病」です。

 そんなぼくに、名医がお薬だしてくれました。

 『新・本とつきあう法 活字本から電子本まで』(中公新書/津野海太郎著)
をきょうは服用。

 津野さんは、晶文社などで活躍された名編集者で、いまは
 季刊『本とコンピュータ』(トランスアート)
の総合編集長だ(このすばらしい雑誌、次号からはまた内容がかわるとのこと)。
 
 『新・本とつきあう法』は
 第一章 活字本とつきあう/第二章 電子本とつきあう/第三章 インターネットでの読書/第四章 図書館とつきあう
という内容。

 一九九八年の本だから、とくに二・三章の部分では古くなってしまったところもあるけど、そんな流れの先端についていっている人はそんなにいないはずだから、新鮮に読めるとおもう。いやこのさい、たんに技術の問題じゃないんだけど。
 
 なにより、第一章が効くんだよ。ぼくが薬という理由だ。この薬は
 〈ぼくは「本が好きだ」とおもっている。でも、本て、なんだ?〉
という悩みに、効くんだ。

 ここに、一章の小見出しをつなげてあげてみる。
 【雑誌は破りながら読む・ふつうの本も破る・本はパンフレットである・読者も編集せよ・歩きながら読む・天幕生活者の読書】
この薬の主要成分は上のとおりだ。
 これを実践せよ、というのではなく、「本好き」が陥りがちな中毒症状が、この本を読むことで、緩和される。あぶないな、という自覚のあるひと、この薬は薬局でなく、書店であつかっております。どうぞ、お求めください。 
by taikutuotoko | 2004-07-06 22:32 | 本・雑誌・新聞・書店


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