日曜日。起きたら外はイイ天気、きょうは
不忍ブックストリートの「
秋も一箱古本市」だ。春の一箱古本市のとき同様、本を詰めた重いダンボールを抱えて地下鉄で根津まで移動する。へばったよ、もう(とくに大手町での乗換、遠い!)。
ぼくの出店する大家は根津の三浦坂をのぼったところにある「宗善寺」さん。東屋やトイレもあり、じつに快適で親切な大家さんだった。一時間も早く来てしまったので(もちろんまだ誰もいない)ベンチで読書をしていると、あ、
晩鮭亭さんだ。屋号が「サノシゲ食堂」と聞いて、やっぱり。
店主一覧を見てそうではないと思っていたのだ。だんだんと店主たちが集まりだす。
岡崎武志さん(ご家族で)もココ。
宗善寺さんが長テーブルを何台も貸してくださり(お茶やお菓子も!)、その上に三箱くらいずつ設置(ぜんぶで一五箱くらい)。ぼくは晩鮭亭さん岡崎さんと同じテーブルに置かせてもらう。左隣りになった
bookriumさんという女性はなんと金沢から夜行バスで着たとか。すごいねぇ。
今回は個別精算ということもあって、代わりがいない場合はずっと自分の箱のところにいなければらない、ということで、晩鮭亭さん岡崎さん御一家bookriumさんには特にお世話になった。どうも。
ちなみにぼくの屋号は「ちくわ文庫」。当初ちくま文庫をメインに並べるつもりでつけたのだが、すっかり忘れてしまい、箱の中にちくまは一冊もナイ、ということに当日気づく。バカだねぇ。センスや手間の感じる凝った箱(や中身)が多いなか、なんの飾りもないダンボールに部屋の本をテキトウに詰めただけの「ちくわ文庫」は見劣りがするが、愉しめればまぁいいでしょ。
一一時から古本市が開始。天気もイイのでお客さんがどんどん来てくださる。箱の後ろに立ってお客さんと対するのはなかなか照れくさい。さいしょに売れたのは獅子文六『コーヒーと恋愛(可否道)』(角川文庫)だったかな。昼過ぎまではけっこう順調に売れた。あ、という顔(というかお世話になっている方々)もぞくぞく来場。「
古書 往来座」さんからはラスクの差し入れをいただいた、ありがとうございます。でも、いつも自分が古本を買っている往来座さんやダイバーさんに(自分が値をつけた)本を買ってもらうというのは不思議な気分だな。
一五時台に空がおかしくなってきて、一六時台には箱に雨蓋をするようなことも。それでも駆け込みで数冊売れ、箱がだいぶ軽くなった。ありがたい。さいごに「サノシゲ食堂」から
『野草の料理』(中公文庫/甘糟幸子著)
を買う。カバーが谷内六郎、二〇〇円。「サノシゲ」が佐野繁次郎装丁本で、「食堂」が料理モノの文庫、というのが晩鮭亭さんの箱だった。
片付けをおえ、雨の中を岡崎さん晩鮭亭さんと「文京ふれあい館」へ。ここが打ち上げ会場だと勘違いしていた(春がそうだった)のだが、ほんとうは「千駄木交流館」だ。げ、けっこうあるなぁ。岡崎さんが雨よけの小さなビニールを頭の上にちょこんとかぶせるようにして歩く姿がおもしろすぎるのでぼくの傘を使ってもらうことに(自分は軽くなったとはいえダンボールを両手で持っているので差せないのだ)。そしたら岡崎さんがぼくの方まで傘に入るようにしてくださる。岡崎さんに傘持ちさせるなんてねぇ。これは記念だ。
「千駄木交流館」に着く。トイレに入ったら『出版業界最底辺日記』の塩山さんが!「おれのこと避けてただろうぉ、ぜんぜん見かけなかったぜぇ」、ひえぇ違いますよぉ、ずっと箱にへばりついてたんですよぉ。
打ち上げ(飲食はなく、賞の発表など)がはじまり、南陀楼&オヨヨご両人の司会で各プレゼンターの賞が発表される。お隣りだったbookriumさんは南陀楼賞に、ぉお!なお、今回の中心となった「青秋部」石井&中村さんはトークもイケる美男美女でありました。みなさまご苦労さまです。「北方人」の
盛さんは売上冊数が三桁(!)で第一位。あれこれ話する。
ちなみに、ぼくは四四冊・一七二五〇円で、どちらも平均よりすこし上でありました。(このあと追加で一冊(二〇〇円)売れた)
売った(残った)本リスト。はこちら。
場所をかえての飲み会にも参加させてもらう。いくつかに分かれたテーブルの、奥のほう。塩山さんのとなりで、ときどきイジってもらえる“特等席”。それにしてもここは男ばっかり。塩山さんの言う「澱んでるよな、天国と地獄だよ」の地獄席、だけどじつに愉しく話を聴く。というか塩山節炸裂ですよ。ところが、その塩山さんを黙らせた凄い女性が途中から参戦。「あぁ、あの、あの有名な塩山先生でらっしゃいますか」……これで塩山センセイ完全敗北でしたねぇ。いろいろなひとと話せてよかった。一一時半過ぎだかに解散となる。南陀楼さんから、「じゃ、リンク集お願いね」……あ、やっぱり。へい、がんばります。