電筆将軍。

 一箱古本市に向けた“プロジェクトF”のため、帰りに東池袋の「メディアマッサージ」へ。
 『ヌードなオニオン』(河出書房新社/サエキけんぞう著)
を買った。四六〇円。
 南池袋の「古書 往来座」にも寄る。そういえば皆サン、往来座オリジナル「着流し書皮第2号」のご使用例はクリックしましたか?えっ、まだなの?!駄目だナァ。

 さて、ちょうど
 『日本速記事始 田鎖綱紀の生涯』(岩波新書/福岡隆著)
を読みおえたところだったので、「日本の速記術の祖・田鎖綱紀のお墓は雑司ヶ谷墓地にあるそうですよ」とお話したところ、往来座の瀬戸さんも初耳とのこと。往来座さんには「雑司ヶ谷に眠る人たち」というコーナーがあり、いろいろと詳しいのだが、新情報を提供できて良かったヨカッタ。

 で、この田鎖綱紀という人物、なかなか個性が強くておもしろい。伊藤博文が彼につけたニックネーム“電筆将軍”は本人も気に入り、好んで使っていたという。“電筆将軍”て響きからして、奇人の感じがするではないですか。
 円朝の「怪談牡丹燈籠」を速記した若林玵蔵と酒井昇造は、田鎖直門の三羽烏(もうひとりは林茂淳)だというから、「牡丹燈籠」に影響を受けたといわれる日本の言文一致体にとって田鎖は母方の祖父くらい(?)にあたる、といってもいいような存在かもしれない。もっとも、彼の速記法はまだ不完全で、弟子たちが実用的なものへと育てていったという。田鎖本人は実用性をといった改良より、日本語を変えてやるくらいのことを思っていたようだ。

 エスペラント語や朝鮮語の速記法も考案したというからオドロクが、各界(国会・ラジオ・座談・裁判……)で活躍した弟子たちにくらべ、ずいぶんと生活は苦しかった。いや、苦しかったのはその家族で、本人は我侭放題で過ごしたらしい。息子にいわせると彼は矛盾のかたまりで、
 〈人が困ろうが迷惑しようが、怒ろうが泣こうが、そんなことに頓着しない。かと思うと非常に同情深く、人を喜ばせるのが好きで、そのため別の方面に迷惑をかけて一向お構いなし〉
という、まぁ本を読んでいるだけのこっちにしてみれば一番おもしろいタイプだったりするのだが。もうちょい知りたい方は古本屋でどうぞ。

 往来座では、前々から欲しかった
 『日本語大博物館』(ちくま学芸文庫/紀田順一郎著)
を買った。八〇〇円。「不忍ブックストリートマップ」をもらってきたら、うちのポストにも届いてました。
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by taikutuotoko | 2006-04-11 00:58 | 本・雑誌・新聞・書店


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