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新刊『昭和ジャズ喫茶伝説』を読み出す。

 『セーラー服とエッフェル塔』(文春文庫/鹿島茂著)
を読みおえたので、おつぎは買ったばかりの
 『昭和ジャズ喫茶伝説』(平凡社/平岡正明著)
に手をつけることにした。書下ろし。ジャケット(カバー)には、いくつものジャズ喫茶のマッチラベルが飾られたデザインだ。

 〈ジャズは、生演奏がいちばんだというのはまちがいないが、生演奏はときどき、演奏するやつが邪魔だ。
 部屋で聴くと、自分が邪魔だ。
 ジャズは、ジャズ喫茶で聴くもんだ。
 町を歩いても、モダンジャズ喫茶を見かけなくなったって?
 探せばまだあるよ。
 俺が二十代の一九六〇年代には、有名無名の、そして現在はほとんどが閉店してしまった、ジャズ喫茶という、コーヒー一杯でジャズレコードを聴かせる店があって、ジャズの海でポコンとぶつかる流木のようなものから、一つ眼の巨人の島のようなものもあったし、また船乗りを海底に沈める、なやましい曲線とハスキーな声の、乙女なんだか海獣なんだか、そんなものがクエッ、クエッと鳴いて、おいでおいでをする岩礁もあって、そういうところでタンコブを作った男やら、巨人に食われたやつらの想い出こもごも、すべて事実を語ると神話になる、都会という装置の蟹歩きを四十年以上つづけてきた俺が、ははは、やけに頭でっかちの主語になったが、これからが肝心の述語だ、そのピンポイントの穴から、ここ半世紀、五十年間の都会生活情景を、シューシュー蒸気まじりに吹き出してみせようというのが、この本だ。〉

 う~む、おもしろそう。
by taikutuotoko | 2005-10-06 02:16 | 本・雑誌・新聞・書店


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