『歴史への感情旅行』(新潮文庫/安岡章太郎著)
を読んだ。単行本が九五年、この文庫が九九年刊。おもに九〇年代前半に書かれた短文を収録している。
『寺田寅彦』(太田文平著)についての「温容と理性について」(『波』に掲載)という文章のこの箇所が気になった。すこし長くなるが。
〈ところで私が、寅彦に親しみを覚えるようになった直接の動機は、土佐の維新史を読んでいるうち「井口村事件」というものにぶっつかり、事件の犠牲者で切腹を命じられた宇賀喜久馬という少年が寅彦の叔父であり、また少年が切腹する際、介錯をつとめた少年の兄の利正が寅彦の父であることを知ってからだ。この事件については、太田氏の本にも述べてあり、また私も他で詳しく書いたから、その説明は省略するが、要するにこの小事件から土佐に勤王党が結成され、維新の発生がうながされたということは、寅彦自身がそれについては、松根東洋城の雑誌「渋柿」に、ほんの百字ほど、しかも自分には無縁な人の昔話のように述べているだけなのである。なお、この事件を親戚代表として藩に届けたのは私の曽祖父に当る人物だが、この話を私は自分の家では聞いたことがない。父も母もそんな話は一度として口にしたことはないのである。それだけに、寺田寅彦の背後にこうした血腥い野蛮な歴史があることを知って、私は子供の頃から抱いていた寅彦のハイカラなイメージが、一挙に身近かな土佐人のそれに代るのを覚えたわけだ。〉
これははじめて知った。
「はてな」のアンテナを飛びまくっていてたどり着いたのだけど。北田暁大さんもブログ(「
試行空間」)を持ったいたのね。お知らせ中心かな。いまのところ、最終更新日は七月二日のようだ。