『チリ交列伝 古新聞・古雑誌、そして古本』(ちくま文庫/伊藤昭久著)
を読んだ。今月の新刊だが、もとは『彷書月刊』に連載され、単行本が〇一年刊。
「黌門客」での定義でいえば、「ちくまアウトロー文庫」の要素のつよいなかに、「ちくまふるほん文庫」の要素もあるという一冊。う~ん、ぼく好みだ。
著者は世田谷区池尻の古本屋「
古書いとう」の店主だが、おもしろい経歴の持ち主で、古本屋のまえは家業である製紙原料商の会社の専務さん。業界のことばでいえば、タテバ(立場)、タテバとはチリ交つまりチリ紙交換の集荷所・問屋のこと、なのだそうだ。(じつは、そのまえの経歴も興味ふかいのだが。)
ナンモ・ズージャ・大陸・バラギ・いただき・イマイチ・万三ッ屋……。そんな呼び名の、風がわりでワケありなチリ交たちがそこに集まり、符牒まじりの会話が飛び交う。
まるでその場に居合わせたかのような気分にひたりながら、チリ交たちの生き方を見ていく。さて、彼(女)らは如何にしてチリ交となりし乎。その仕事ぶり、飲む打つ買うの暮らしぶりは如何に。