『東京恋慕帖』(ちくま学芸文庫/正岡容著)
に入っていた「鼎談 師正岡容を語る」(大西信行・桂米朝・小沢昭一)
がやたらとおもしろかったので買っておいた
『彷書月刊』(二〇〇四年一二月号/彷徨舎/特集:「容 いるる 生誕百年正岡容」)
を読んだ。
やはり、小沢昭一・加藤武、司会坪内祐三さんの対談
「飲んで歌って泣いて笑って」
がとんでもなくおかしい。
たとえば。
〈加藤 (略)だけど、正岡さんがシラフから酔っぱらっていく、あの経過をずっと見ているのは面白かった。いろんな芸談が始まるでしょ。でも半分辛かった。
坪内 辛いとおっしゃいますと。
加藤 こっちは飲めないのに、向こうはどんどんデキあがっていくわけだから。
小沢 そ。で、だいたい最後は泣いて終わりになるんです。泣いてみせるんじゃなくて本当に泣く。
加藤 長襦袢を引っぱり出してきて、クゥーンと泣いて、ふと冷静になって「色っぽいネ」なんてつぶやくんだ(笑)。
小沢 長襦袢で涙を拭く自分の仕草が色っぽいってんだから困ったものだよ(笑)。〉
なるほど、とおもったのは
〈坪内 僕は、正岡さんはとてもモダンな人だったと思ったんです。日本情緒だけじゃなく、大正時代に青春を謳歌した人特有のモダンさ。〉
といったあたり。