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中公文庫を二冊。

 『東京焼盡』(中公文庫/内田百閒著)
をやっと読みおえた。太平洋戦争末期の一九四四年一一月一日から、終戦直後の、一九四五年八月二一日までの日録。「ちくま文庫」でも読める。

 内容については、これまでなんどか途中経過を書いてきたので、それでいいかと思う。くわしくは書かないが、これはとにかく最後まで読み通すことで、はじめてその魅力というか味わいがわかる本であるな、という感じ。

 ただ、五月末に百閒の家が焼けるあたり、何度も読みかえしてしまったほどで、ぜんぶを読むのが億劫なひとは、そのへんだけ読んでもいいかとおもう。勿体ない読み方ではあるが。

 もう一冊。
 『珍品堂主人』(中公文庫/井伏鱒二著)
を読んだ。一九五九年に単行本、この文庫は一九七七年刊。いやはや、「タンマ、くゥずした」が頭から離れないですわ。

 ある骨董屋(珍品堂主人)が、商売の行き詰まりから、「要するに金だ。」と、料亭「途上園」をはじめるのであるが……。そういうはなし。
 古本小説があるのだから、きっと骨董小説ってものいくらかあるのだろう。駆け引きがタマリマセンね。

 さいしょのうちは好きになれなかった珍品堂にも、途中からは感情移入してしまい、終盤
 「そうだ、俺は物思いに耽ってやろう。」
と呟くころには、この男がずいぶんと好きになってしまったのであった。

 というわけで、ことし読んだ中央公論(新)社の本は、二七冊となった。順位に変動ナシ。
by taikutuotoko | 2004-12-23 23:28 | 本・雑誌・新聞・書店


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