警報・酒・省線電車。

 『東京焼盡』(中公文庫/内田百閒著)
を、読んでいる最中。この中公文庫版は一九七八年刊で、さいきんちくま文庫にもはいったね。
 きょうはあまり本を読む時間がなく、地下鉄移動中のみの読書。まだ昭和二〇年二月九日(五三ページ)。まだ先は長いな。

 ここまでの内容はというと、(警戒・空襲)警報・酒・省線電車、という感じか。とにかく、きょうほど「省線電車」という字を見た日はないよ。
 さすが百閒といえばいいのか、電車に乗ったことはかならず記している。〈午後省線電車にて出社す。夕省線電車にて帰る。〉という記述も、いちいち「省線電車」と書くところが妙におかしい。ぼくの日記に「朝東京メトロにて出勤す。夕東京メトロにて帰る」とは書かないものな。

 とにかく、まだ読みはじめなので、ここっ、という場所はまだないが
 〈古日に、東都麹町五番町内田栄造の木版を誂へて貰ふ様頼んだ。東京都と云ふ字面も音も気に入らぬ也。東京市でいいものを変な呼び方にするものだから、空襲の時の情報放送に、東京市の上空ではいけないし、東京都の上空と云へば飛んでもない所まで含まるので、困った挙げ句に、帝都の上空と云ふ云ひ方を阿呆の一つ覚えの様に使ひ出した。いやな言葉だからこつちでは使ってやらぬ也。〉
などと云っている。 

 帝都上空いらっしゃいませ、とは誰もいわなかったろうが、いよいよ「敵機」の来襲ははげしさを増していくのだろう。街が家が命が、焼かれる。

 追記:いや~、さっきまで、これを『東京焼窯』(とうきょうやきがま)と読んでました。よく見たら「しょうじん」ではないですか、はずかしい。
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by taikutuotoko | 2004-12-17 23:11 | 本・雑誌・新聞・書店


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