人気ブログランキング | 話題のタグを見る

〈驚異の〉古書店店内見取図。

 ぼくのばあい、「古書」というほどのものはまず買わないし、目録で注文もしたこともなく、せいぜい絶版になった文庫本を買うくらいの、ごくあっさりとした「古書店・古本屋」とのつきあいだ。神保町にも、年に一〇回、行くかどうか。
 だけれど、お店を覗くのは好きだし、そこに本があるだけでホッとする。また、古書の世界にドップリ、というひとたちの生態を知るのも、じつに愉しく、驚かされることばかりだ。

 『神保町の蟲 新東京古書店グラフィティ』(東京書籍/池谷伊佐夫著)
を読んだ。まだ出たばかり。『新』というからには旧があるわけで、一九九六年に
 『東京古書店グラフィティ』(東京書籍)
を出しているとのこと。ぼくは読んでいない。

 なんといっても、帯に〈驚異の〉とある店内見取図が、じつに愉しい。
 「かげろう文庫」「うたたね文庫」といった新しい店から、「田村書店」「小宮山書店」「一誠堂書店」といった老舗まで、三〇を超える古書店の店内見取図が載っていて、どの棚にどういう本があるのか、パッとわかっちゃうのだ。ぼくには敷居が高くて、じっくり眺めていられないような老舗や、まだよく知らない新しい店のことがよくわかる。こういうものは、写真よりいいね。

 荷物があるとしゃがめないほど通路が狭く、こまってしまっていた「キントト文庫」も載っているぞ。うーん、じっさいに行くより、どこになにがあるかわかるな。

 そのほか、古書エッセイはやっぱり愉しいが、「古本屋には、喫茶店がよくにあう」のなかで、ぼくにとっては「うんうん」という記述を発見。

 〈しかし、私はカフェで長居をすることはなく、せいぜい十五分くらいで出てしまう。気の弱い私は、飲み物を持ったまま座る場所を探しあぐねている人を見ると、つい席をたってしまうこともある。ゆっくり休むには、どこかせわしないところが感じられるのだ。〉
 そうなのよね、ぼくも気が弱く、すこしでも混んでくると、もう落ちつけない。でも、池谷さんは、こうつづけるところが、さすがだ。
 〈ただし、私はなにごとにも蒐集癖が、頭をもたげるので、カフェに入るとナプキンを一枚もらってくる。〉
 ただでは席をたたない、といったところか。「さぼうる」の見取図もあるぞ。

 「あなたも神保町の古書店主に」という章も興味ふかい。開店のための具体的な経費から、手順、覚悟や秘訣、そして古書店主たちへのアンケート。このアンケートがじつにおもしろいので、どうぞ読んでみてくださいな。
 ちなみに、オンライン古本屋の財布というブログでは、「古書組合加入物語」が「その5」まで書かれているのだけれど、おもしろいので一読を。

 もう一冊。
 『古書狩り』(ちくま文庫/横田順彌著)
も読みおえた。水谷哲也 読書日記(一一月十五日)で取り上げられていたので。

 では、きょうの購入本。ブックオフで
 『日本ロック学入門』(新潮文庫/相倉久人著)
を、一〇五円で。
by taikutuotoko | 2004-11-17 22:01 | 本・雑誌・新聞・書店


<< 高いか?いや、安い!期待の新書。 ぼくも買った『Pen』。 >>