もう書店には、「植草甚一スクラップ・ブック」(晶文社)の復刊第一回
『いい映画を見に行こう』
『ぼくの読書法』
『モダン・ジャズのたのしみ』
は、並んでいるのだろうか。九月から刊行開始、というだけで、発売日がよくわからない……と、おもったら、二八日発売だそうだ。新聞の広告に書いてあった。
詳細は
晶文社WONDERLANDで。
前回の書き込みで、書名をあげて「読んだ」とだけ書いた
『バーボン・ストリート』(新潮文庫/沢木耕太郎著)
は、けっこう有名な本だし、読んだことのあるひともおおいだろうから、内容までは紹介しなかった。でも、植草さん関係のエッセイもはいっているから、ついでに、それだけ紹介しておこうかな。
『ぼくは散歩と雑学が好き』(晶文社)
という植草さんの著書があるが、沢木さんのエッセイのタイトルは
「ぼくも散歩と古本が好き」
というもの。
古本屋回りのあとの喫茶店で、沢木さんは、買ってきた古本にパラパラと目をとおしていた。そのなかには「スクラップ・ブック」の一冊、『植草甚一日記』があった。
沢木さんが「思わず項を繰る手を止めてしまった」のは、その日記の記述のなかに、「遠藤」という古本屋の名前があったからだ。その遠藤書店があった経堂に、沢木さんも住んでいたことがあるという。
で、そのころ、沢木さんは
〈遠藤書店に寄ると、奥で椅子に坐り、古いアメリカのグラフ雑誌や均一本に眼を通している植草甚一の姿を見かけることもあった。〉
〈遠藤書店で植草甚一を見かけるたびに、ひとこと話しかけてみようかなという気持ちが湧き起こったが、その都度、せっかく楽しんでいるのだからと思いとどまった。彼は本当に古本が好きそうだった。〉
これは、ほんの書き出しのところなので、もし気になった方がいれば、どうぞ。