なにか、すでにそこに存在する「学問」に自分をあてはめる、ということではなく、「それぞれで歩いている人たち」のことだ。そして、「そこに学問があるのだ。」
『「歩く学問」の達人』(晶文社/中川六平著)
を読んだ。「歩く学問」というのは、鶴見良行さんのエッセイからとったという。
『アジアの歩き方』(ちくま文庫/鶴見良行著)
に同名のエッセイがおさめられているので、気になるひとはどうぞ。
この本でとりあげている「達人」は一六名。
鶴見良行・山折哲雄・高良倉吉・藤森照信・網野善彦・長井勝一・森まゆみ・目黒考二・粕谷一希・上野博正・宮本常一・小沢昭一・野田知佑・熊谷博子・松下竜一・大城立裕。
しょうじきにいうと、四人については、ぼくは名前もしらなかった。
このうち一三篇は、『AERA』の、「現代の肖像」に書いたものがベース。ほかは、『思想の科学』が二篇。『論座』が一篇。
二三五ページの本で一六名を、というわけだから、それほどふかく、というわけにはいかないが、そのひとの「歩み」の道筋や、歩きながらなにを見てきたか、ということについて、わかりやすく紹介している。わりと、気楽に読める。
みな、インタビューをもとにしたもの(宮本さんのは、アサ子夫人に)だ。
中川さんは、あるひとに
「インタビュアーはインタビューされているんだよ、六平」
と、インタビューの意味をおしえられたという。
小沢昭一さんに、好きなことばを尋ねたところ
「ちょっと裏、がいいですね」
と、答えている。
うん、いいな、それ。