いぜん、買ってきたさいに、おすすめできそうな本だ、と紹介したが、やはり、おすすめだ。
『装幀列伝 本を設計する仕事人たち』(平凡社新書/臼田捷治著)
を読んだ。いいよ、これは。
ただし、おなじ著者の
『装幀時代』(晶文社)
でとりあげられていた、原弘・粟津潔・杉浦康平・和田誠・平野甲賀・田村義也・菊地信義といったメジャーどころ十一人については、あまり触れていない(杉浦さんについてはべつ)。だから、できれば、あわせて読むことができればいいのだけれど。
この本では、人物にまず注目するというより、装丁を手がけることがある職業などの、この本でいう「水脈」にまず注目し、そのなかから、特筆すべき人物を何名かあげて、紹介し、論じる、というかたちだ。
各章の題を書き写してみると(ちなみに「仕事」とは装丁の意)
一、編集者の仕事 二、詩人の仕事 三、版画家の仕事
四、画家の仕事 五、イラストレーターの仕事 六、「幻の装幀家」の仕事
七、著者自装の仕事 八、杉浦イズム咀嚼者の仕事 九、ミニマリストの仕事
十、現代の旗手の仕事
たとえば、「杉浦イズム咀嚼者の仕事」では、羽良多平吉・工藤強勝・松田行正(不勉強だが、みな知らなかった)という三人をとりあげているが、共通点として、松岡正剛さんの(杉浦さんがふかく関わった)「工作舎」で働いたことがあることをあげている。このヘンに興味あるひとは、おおいのではないか。
ところで、「そうてい」という漢字についていうと、臼田さんは「装幀」という字をつかうし、岡茂雄の岡書院は「装釘」という字をもちいたと、司馬遼太郎さんの本にあった。また、司馬さんによると、『広辞苑』は「装幀」をもちいているが、「装訂」が正しいとも書いているという。
ぼくは、「装丁」を、変換しやすい、という理由でもちいているので問題外だが、興味ふかいところだ。
臼田さんが「装幀」をもちいる理由は、『装幀時代』に記してあったような、ないような。本をさがすのが億劫で、ごめんなさい。
こうなると、臼田さんの残る一冊
『現代装幀』(美学出版)
も読んでみたいが、やすくないからなぁ。
ちなみに、平凡社新書の装丁は、菊地信義さん。数ある新書のなかでも、ぼくのすきな「装幀」のひとつだ。