テレビ番組表をみておどろいた。オリンピックに対抗するため、テレビ局がえらんだのは、細木和子だということか。テレビというメディアは、じつにゲテモノがお好きらしい。視聴者が望むのだからしかたがない、テレビなんてそんなものだ、というのでは、なさけない気もする。
『あぶく銭師たちよ!―昭和虚人伝』(ちくま文庫/佐野眞一著)
は、『昭和虚人伝』(文藝春秋)の文庫版。
佐野さんの作品は、どれも圧巻だが、ぼくの好みもあって、この一冊を(とくに初心者には)すすめたい。『巨怪伝』や『カリスマ』などの大作とくらべれば、かんたんに読めてしまうし、やはりゲテモノは、おもしろいのだ。
この人物ルポでとりあげられている「虚人」たちは、リクルート・江副浩正、地上げ屋・早坂太吉、代々木ゼミナール・高宮行男、フジテレビ・鹿内春雄、ファッションデザイナー・斎藤都世子、そして細木数子。
いま手元にないので、くわしくは紹介することはできないのだけれど、たしかにバブルの時代を象徴する顔ぶれだ。そのひとりの細木和子に、いままた妙な需要がうまれているというこの事態は、いったいなんなのだろう。