ライターの岡崎武志さんは、独立して書店をやるということについて
「書店経営を自己表現にする。さまざまな人達との刺激的な出会いの場所とする。言葉にすれば通りがよく、なんだかかっこいいが、実現となるとほとんど極北への冒険に近い。」
と書いている。
うーん、「極北への冒険」か。となると、かれらは「冒険者」ということだな。
『本屋さんになる! 書店・古書店を独立・開業するためのアイデアとノウハウ』(メタローグ/岡崎武志+CWS編)
を読んだ。CWSレクチャーブックス・「なる!」シリーズのなかの一冊。
独立して、特徴ある新刊書店や、(オンライン)古本屋、古本カフェなどを開業するひとが、ふえているらしい。これから、とかんがえているひとも当然、いるということで、そんなひとには、「冒険」の手引書になるだろう。先人とおなじことをしては意味がないけれど。
本を売る、ということは、商売としては、わりにあわないものだという。すくなくとも、「もうけたい」というひとには、おすすめできない仕事だ。
この本のなかでも、ある店主は、〈書店は薄利多売と聞いてはいたけど、こんなにもうからないとは、ほとんど「壮大な趣味」だと。〉といっている。
つまり、ほんとうに本がすきで、くるしくとも、なんとか商売として成り立たせていきたい、と真剣にかんがえるひとでないと、できるものではない。
ぼくは、あんまり個性のつよい、「自己表現」という感じの店は、ちょっと苦手なのだけれど、なんの特徴のない店では、もうやっていくことはできないのはたしかだろう。じぶんの趣味にあった店をみつけることができれば、きっと充実した読書生活のたすけになるはずだ。おなじ一冊なら、そういう店で買うほうが、客としても夢があっていいんじゃないかな。
書店をかんがえるということでは
『本屋はサイコー!』(新潮OH!文庫/安藤哲也著)
『書店風雲録』(本の雑誌社/田口久美子著)
なども、おもしろいので、どうぞ。