「自己弁護」に「それでも」。酒を呑むってことは、どうやら後ろめたいことらしい。ぼくも少々、おふたりに後ろめたい。いま呑んでいるのは、サントリーでなくて「スーパーニッカ“和味”」とかいう特売九八〇円のウィスキーだもんで。
『酒呑みの自己弁護』(新潮文庫/山口瞳著)
を呑んだ、じゃねえや、読んだ。一九七三年に単行本、文庫が七九年刊。
『夕刊フジ』の連載エッセイをまとめたもので、挿画が山藤章二さん。山藤さんが挿画を書くと、共著といいたくなるね。
二杯目は
『それでも飲まずにいられない』(講談社文庫/開高健編)
で、これは文庫オリジナルかな、一九八五年刊。
お酒についてのエッセイや小説、落語もありのアンソロジー。開高さんのほか、青木雨彦、吉田健一、吉行淳之介、遠藤周作、山口瞳、半村良にレイ・ブラッドベリ……、志ん生なんかもいるもんだから、もう酒のにおいがこっちまで漂ってきて、酔っちゃいそう。
これはぜひチャンポンにして書きたいナと、両方が読みおえるまでとっておいたわけ。とくに山口さんの『酒呑み~』はおもしろく、はなしに出てくる酒呑みたちも多彩で、巻末には索引つきというアリガタサ。
『それでも~』の方は、どうも、人類はいかに二日酔いと闘うか(イヤ、観念するしかナイのデス)、というのがテーマのような感じで、クレメント・フルーってひとの「ハングオーヴァーズ」(二日酔い)も一〇〇ページ近く収録。二日酔いのことをかんがえると、ウィスキーはいけません。
どちらも、古本屋でどうぞ。
さて内容を、と思ったら、ちょいと酔いがまわってきた、うまいこと浮かびません。オッ、『酒呑み~』の青木雨彦さんの解説によると、この本の帯が第一回「日本腰巻文学大賞」だそうで。
〈くやしいけれど、この本について、この帯の文句に勝る解説はない。〉
と青木さんがオッシャるのだから、ぼくもなにも言うことはありません。これをノッケておしまいにしましょうか。
〈月曜 一日
会社へ行って
火曜日 夜更けに
九連宝燈
水曜 一晩
小説書いて
木曜 三時の
四間飛車
金曜 日暮れに
庭木をいじり
土曜日 たそがれ
馬券の吹雪
日曜 朝から
愛妻家
月々火水木金々
酒を呑みます
サケなくて
何で己が 桜かな〉