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「池波正太郎の世界展」のカタログ、など読む。

 おとといの夜、植草甚一の本のつぎはなにがいいかなと考えたところ、池波正太郎がいいだろう、ということになった。そういえば
 『池波正太郎の世界展』(世田谷文学館)
というカタログ(といえばいいのかな)が、手元にある。あれを見てみよう。

 ことしの四月二四日~六月二三日まで、世田谷文学館というところで「池波正太郎の世界展」がひらかれていたそうだが、ぼくは行っていない。池袋のジュンク堂で、一一四三円で買ったのだった。
 館長が佐伯彰一さんだそうだが、植草甚一さんの本の解説も佐伯さんだったので、うまい具合につながったな、いいセレクトだぞ、と自賛しつつ、この一五〇ページちかくある冊子を眺めた。

 大村彦次郎・常盤新平・海野弘・長部日出雄さんなど十数名が文章を寄せているし、くわしい年表はあるし、池波さんの絵がいくつもカラーで載っている。原稿に、愛用の品々、書斎の写真も載っていて、本棚をじっくりながめてしまった。

 おもしろいのは創作ノートで、「藤枝梅安」や、「剣客商売」の『黒白』のものなんて、「ジャポニカ学習帳」の「しゃかい(マス)」のノートだもの。『黒白』の波切八郎は、武上四郎がモデルで、その写真が貼られていたり。

 そのながれで、きのう読んだのは
 『映画を食べる』(河出文庫/池波正太郎著)
だが、この日の夜はテレビで『剣客商売』をやっていたし、「読書手帖/引用の織物」でも池波正太郎の食卓という本を紹介していたので、グウゼンにちょいとおどろいたりした。

 池波さんというと、映画と食べ物のエッセイが有名だから、このタイトルなんだろう。「映画日記」の部分がだんぜんおもしろかった。
 『オリエント急行殺人事件』の試写のあと、池波さんはこんな会話を聞いたそうだ。
 〈試写室のどこかで「バーグマンも老けましたねえ」とだれかがいうや、すかざず別の人が「君も老けたね」と、こたえた。〉

 きょうは
 『目玉』(新潮文庫/吉行淳之介著)
を読んだ。表題作の「目玉」は、吉行さんの、白内障で見えなくなった目玉を、人工水晶体に変えるはなし。

 「目」といえば、読書好きのひとは、たいてい視力がわるいものだ。ぼくもやはりそうで、裸眼では一五センチ以上先のものは、ぼやけてしまう。メガネがないと、生活ができない。

 寝るときにメガネをはずしたら、いつも決まったところに置かないといけない。そうでないと、朝起きてからメガネをさがすのも一苦労なほどだからね。

 いちど、こんなことがあった。目覚めてからメガネをさがすのだけど、どこをさがしても見あたらない。いったいどこに消えちゃったんだ、メガネやぁい。部屋の隅々まで見渡してみるが、ないのだ。
 
 ん?部屋の隅々?おやっと思って目のあたりに手をやると、すでにメガネをかけているではないか。ああ、酔っ払って、外さずに寝てしまったのだろう。裸眼で〈部屋の隅々まで見渡〉せるわけがないものな、ぼくの視力では。 
by taikutuotoko | 2004-12-15 21:54 | 本・雑誌・新聞・書店


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