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「今日の稗史として」。

 〈いつにかわらぬ人間の暮らしむきのなかに、犯罪は時代の刻印、または犠牲としてあらわれるのかもしれず。やや大仰ながら、そこに今日の民衆小史がある。それを私は書いているつもりでした。〉

 『犯罪専科』(河出文庫/小沢信男著)
を読んだ。六〇年代中盤~七〇年代中盤までの事件をとりあげた、じつに読ませる犯罪ドキュメント。古本屋でなら、よく見かけるはず。

 収められた十篇のなかでも印象的なのが、「フーテン・マコの短い華麗な生涯」。
 そのなかで、「喜願千人斬り―記録の記録」という小見出しのついた段がある。ここでは、本篇の主人公(被害者)であるマコが、生前、小沢昭一さんと対談したさいに
 「千人斬り―という言葉があるでしょう。もうあなたなんか近いんじゃないですか。」
と問われているのだが、小沢信男さんの近著は、この「千人斬り」だ。

 『悲願千人斬りの女』(筑摩書房/小沢信男著)
は、中条省平さんが、書評で
 〈一度読みはじめたらやめられないほど面白い。〉
と書いていたもので、いまもっとも気になる一冊。
 
 松の門三艸子という、芸者、花魁、そして歌人としても有名な女傑が、この表題作の主人公だそうだ。『犯罪専科』にも、ちらと出てくる。そのほか、木村荘平(木村荘八などの父)、芦原将軍、稲垣足穂が主人公の各篇も収められているというから、たまらないじゃないの。

 ん~、こうなったら我慢できない。オンライン書店に注文だしちゃったよ。 
by taikutuotoko | 2004-10-14 01:38 | 本・雑誌・新聞・書店


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