作家を撮る。

 おなじみの顔から、こういう顔だったのか、というひとまで。
 
 『作家の風貌』(ちくま文庫/田沼武能著)
を読んだ。もともとは、「東京新聞」に連載し、文藝春秋から単行本がでているものを、再編集したのだという。
 田沼さん(いちおうことわっておくと、有名な写真家です)が撮った、七〇人の作家(といっても、師・木村伊兵衛や新村出などもいる)たちの白黒写真がひとり一枚に、撮影時のようすなどを書いた文章がそれぞれ二ページついている。

 谷崎、志賀、三島、荷風、川端、柴錬、清張、寺山、吉行、池波、井伏、深沢、野坂、大江、色川、阿川……まぁ、こういった作家たちの顔は、まずどこかで何度か見たことがありますな。
 高見順なんて、かっこいい感じでキマっているんだけど、みようによっちゃあヨネスケでかわいそう。尾崎士郎は、上半身ハダカで、四股をふんでいる。川崎長太郎は、蝋燭の火で原稿書いてるところ。

 井伏鱒二の写真がとってもかわいいんだけど、こんなエピソードが。
 まだ若い井伏鱒二が、無声映画のころの撮影所に見学にいったところ、着物姿で酒を呑むエキストラが必要ということで、その役がまわってきた。ところが
 〈「その映画が街で上映されたので見に行った。なんと弁士のやつが『この男は乞食で……』と喋っている。驚いてしまった」〉

 このほか、『広辞苑』の新村出が、〈日記に写真を貼ったりし〉たほど好きだった女優さんの名前とか、おもしろいエピソードがたくさんだ。 
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by taikutuotoko | 2004-10-11 01:48 | 本・雑誌・新聞・書店


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