記者クラブと「便宜供与」。

 きょうは、ジュンク堂書店(池袋本店)のトークセッション、「編集者の学校」の第十一回目
 「このままでいいのか日本 このままでいいのかジャーナリズム」
にいってきた。

 メンバーは、「編集者の学校」(というトークセッションのシリーズ)校長の元木昌彦さん(『週刊現代(以下『現』)』などの元編集長)を司会に、斎藤貴男さんと、体調不良の魚住昭さんの代役で宮崎学さん。

 書かないことによってメリットが発生するしくみのなかにマス・メディアがとりこまれてしまっている、という宮崎さんのはなしを受けて、元木さんが、『週刊現代』時代の体験を語った。

 オウム事件に関連して、自衛官のなかにオウム信者がいる、というニュースがメディアで報道されたころ、『現』は、警察のなかにも、信者が複数存在する事実をつきとめた。(ちなみに、自衛隊に信者が、というニュースは、警察サイドからのリークであったそうだ。)
 
 その取材をすすめるなか、警察から『現』に圧力がかかった。これ(警察内の信者)については、記者クラブ内の他のメディアも知っていることであるが、「ご了解いただいている。」のだから、『現』も自粛していただきたい、と。
 『現』はそれを突っぱね、記事にした。すると、警察は、今後は『現』にたいしては「便宜供与」しない、と通告してきたという。「便宜供与」という言い方をしたという。それはなにか。取材をさせない、情報を出さない。サービスしない。そういう意味だ。

 ようするに、警察(にかぎらず)にとって記者クラブとは、都合のわるいことを書かないことを条件に、情報をあたえる「サービス」をほどこすところである、ということだ。それは、記者クラブにいるかぎり、そういった取材以外をさせない仕組みを警察・官庁がつくり、それにマス・メディアが乗っかっている、ということである。

 こういった実体そのものは、よく読んだり聞いたりする内容だが、「ご了解いただいている」「便宜供与しない」ということば、というのがたいへんに印象的であるため、紹介した。

 そのほか、おおくの示唆に富む発言があったけれど、それについては、斎藤・宮崎両氏の著作を読んでもらえれば、だいたいそこに含まれているといっていいとおもう。ただ、「テロ」ということばの使用され方に、御三方が注意していたことは、考えさせられるぶぶんだった。

 さいごは、欠席された魚住さんの
 『野中広務 差別と権力』(講談社)
が、「講談社ノンフィクション賞」を受賞し、十万部にせまる売れ行きをみせているという話題になった。この本はぼくも気になっていたので、うれしい。はやく買わねば。
 『追及・北海道警「裏金」疑惑』(講談社文庫/北海道新聞取材班編)
 『警察幹部を逮捕せよ! 泥沼の裏金作り』(旬報社/大谷昭宏・宮崎学・北海道新聞取材班著)
 『警察はここまで腐蝕していたのか 警察トップの使用者責任とやくざ組織幹部の使用者責任』(洋泉社/宮崎学編)
も、チェックだな。

 ジュンク堂では
 『東京人』(十月号 特集:「神田神保町の歩き方」二〇〇四年版)
を購入。 
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by taikutuotoko | 2004-09-09 22:17 | 本・雑誌・新聞・書店


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